第177回(2008.02.26)
組織が行うべきプロジェクトマネジメント(4)
〜プロジェクトマネジメントの組織能力とはどのようなものか?

◆はじめに

前回は、プロジェクトの適切さの判断をするのは組織の責任であるが、それは単にプロジェクト評価をする責任ではなく、組織能力の構築と合わせて考えるべきものであることを述べた。今回は組織能力とは何かについて考えてみる。

まず、最初にプロジェクトマネジメントの組織能力を表現する指標について考えてみよう。組織能力という場合に、当然ながらプロジェクトのマネジメント能力もその一部に含まれる。読者の方にとってはここが比較的なじみがあると思うので、ここから考える。


◆プロジェクトマネジメント能力の指標

プロジェクトにおけるマネジメント能力の指標として使うことができるのは

・スケジュール効率
・コスト効率
・プロジェクト品質
・スコープの実現
・技術パフォーマンス
・安全

の6つではないかと思う。最初の4つはプロジェクトの目標をどれだけ効率的に達成できるかであり、あとの2つはそれ以外に達成が要素である。

スケジュール効率はEVMでいうスケジュール効率と同じ概念だと思ってもらえばよいが、計画指標ではなく能力指標であるので、大きければ大きいほどよい。コスト効率についても同じである。品質もマネジメントの概念通りの品質である。スコープの実現はどれだけ望まれるスコープが実現できるかである。品質はスコープ実現の一部に含まれると考えることもできるが、能力指標としては分けた方がわかりやすいので分けている。

技術パフォーマンスというのはどれだけ技術的に優位性のあるものを作ったかを示す指標である。ある商品を構成するのに、最新の技術を使う場合と普及技術を使う場合では明らかに技術に関するマネジメントの能力が違うと思われる。これはプロジェクトでは結局、コストやリードタイム、あるいは品質に結果が出てくるのでマネジメントとしてあまり顧みられることはないが、組織能力としてプロジェクトの能力を考える場合には欠かせないポイントである。最後の安全も改めて説明の必要がないだろう。
たとえば、スケジュール効率が高くてもプロジェクトメンバーがダウンするようなことではマネジメント能力が高いとはいえない。

◆組織レベルの組織能力

さて、なんとなく、プロジェクトマネジメントの組織能力のイメージができてきたと思うので、次に、組織レベルの話に移る。組織という場合に、どの範囲でくくるかは結構重要な問題である。特に、プログラムのレベル考えるかどうかは重要であるが、話が複雑になるので、ここではあえて区分はしない。あくまでもプロジェクトと組織という単純な構図で考えることにする。

すると組織側の能力としては

・妥当な戦略
・戦略に対して適切なプロジェクトの選定
・ベネフィットの実現
・ステークホルダ満足の実現
・生産性の改善

などを挙げることができる。

それそれがどのようなものかについては、次回述べる。

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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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