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第189回(2008.07.29)
プロアクティブとリアクティブ
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◆プロアクティブなプロジェクトマネジメント
1か月くらい前に「「先読み力」で人を動かす〜リーダーのためのプロアクティブ・マネジメント」の著者の村中剛志さんとお話をし、それ以来、少し、真剣にプロアクティブという言葉の意味を考えている。
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もともと、プロアクティブなプロジェクトマネジメントとは、リスクマネジメントの強化を中心にして、早め早めに手を打ち、プロジェクトを進めていくマネジメントを意味しているが、よく考えてみると、別の意味、あるいはこの意味の発展的な含意があるような気がした。
◆前向きと後向き
そのように思うようになったひとつの理由は、ダイバーシティマネジメントの中で、プロアクティブなダイバーシティマネジメントと、リアクティブなダイバーシティマネジメントというのがあるという話を読んだこと。
リアクティブなダイバーシティマネジメントとは、後向きな姿勢で、いやいやダイバーシティマネジメントに取り組むこと。たとえば、人材不足により外国人労働力が不可欠になってきた時代に、それは受け入れ、日本人と同じように仕事をさせ、なんとか問題を起こさないようにしようというのがリアクティブ。
プロアクティブなダイバーシティマネジメントとは、前向きな姿勢で、多様性を競争上に積極的に活用していこうとすることだ。たとえば、女性を活用し、女性ならではの発想を引き出したり、あるいは、外国人を活用することによって現地の文化に配慮した商品開発をしようというのがプロアクティブ。
このような意味でのリアクティブとプロアクティブはプロジェクトマネジメントで強く感じることがある。リアクティブな取り組みをしている企業では、プロジェクトの失敗が多くてプロジェクトをマネジメントを仕方なしにやっている。どんな企業でも最初はそうなのだが、その先に行く推進力はなく、継続性がない。箍を緩めるとすぐにしなくなる。これに対してプロアクティブなマネジメントは、何か将来目標を持って積極的にやっている。ビジネスのなので目標として最も多いのは、競争優位源泉にすることだ。
いくら組織が投資しようと、リアクティブな姿勢で取り組んでいる企業が、プロアクティブな姿勢で取り組んでいる企業よりうまくプロジェクトマネジメントをできるようになることは永久にないだろう。
◆リアクティブな改革とプロアクティブな改革
もう一つの理由は、竹中平蔵先生と加藤寛先生の共著「改革の哲学と戦略」に出てくるプロアクティブな改革とリアクティブな改革という言葉である。この本の中で、竹中先生は自らが小泉元首相の右腕として行った改革をリアクティブな改革だったといい、次の内閣にプロアクティブな改革を実施してほしかったと述べている。ここで言っているリアクティブという改革は不良債権問題など、その問題を解消しなければ前に進めないような問題を解消する活動を言っている。リアクティブな改革は成功したと断言している。これに対して、竹中先生がいうプロアクティブな改革とは、リアクティブな改革が成功した後に、そこに、付加価値を構築していくような改革である。
このような考え方でリアクティブとプロアティブを位置づけると、リアクティブなプロジェクトマネジメントというのは失敗しないためのマネジメントであり、プロアクティブというのは予想以外の成果を収めることを目標とするマネジメントだと言える。
◆3つのプロアクティブが描くシナリオ
この3つのプロアクティブにどのようなシナリオが描けるのだろうか?
少なくとも今の日本の組織では、プロアクティブマネジメントを転ばぬ先の杖のような感覚でとらえているところが多い。これは本当に正しいのだろうか?
答えは次回にしたい。皆様も自分なりに考えてみてほしい。
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著者紹介
好川哲人、MBA、技術士 株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
20年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料)」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。
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